B型事業所、地域活動支援センターでも工賃を1000円以上にするのは可能か?

こんにちは。所長です。

 

そもそも無理だという話は

割と前にしたと思いますが、

今回はできる前提で

方法論を思考実験してみよう

という試みです。

 

まず、

ぱっと思いつくのが

可能か不可能かは置いておいて、

段階性を持たせた工賃支払い規定にする。

 

というものです。

 

B型事業所も地域活動支援センターも

僕が見た範囲でいけば、

全員が同じだけの工賃を稼いでいません。

しかし、支払われる工賃は

時間単位は同じです。

 

これは、

工賃を稼ぐということを、

利用者目線ではなく、

営業ベースで考えるとわかりやすいです。

 

1時間で300円分の作業をするAさんと

1時間で100円分の作業をするBさんがいたとして、

稼いだ400円を足して2で割る

というのが一般的です。

 

元々のB型事業所の報酬体系では、

登録者全員に支払った

工賃の平均金額に応じて、

報酬が決まりました。

 

なので、

極端に低い人がいると困るわけです。

 

週に1日とか

通所しても午前中だけとか

そういった人がいると

報酬が下がる可能性があり、

せっかくサービス提供しても

報酬が減ってしまうなら

当然、サービス提供は難しいわけです。

 

なので、

高い生産性の利用者と

低い生産性の利用者を

足して割ることで

平均値を安定させる必要があります。

 

では、

1時間で1000円稼ぐ利用者だけを

受け入れたらどうか?

それはもちろん、

工賃1000円にはなりますが、

今度は運営が難しくなります。

 

そこで、

1時間で1000円稼ぐ利用者用の作業と

1時間で200円前後稼ぐ利用者用の作業を

わけてしまうのはどうか?

 

というのが今回の趣旨です。

 

例えば、

パソコンを使った作業をする人は

工賃が1時間1000円で、

内職をする人は1時間200円にする。

 

そうなると、

最初から1000円というのは

なかなかきついので、

内職は1時間300円くらいのもので、

1000円に満たないけど

練習すればいける人の分を

補てんするか、

1100円くらいの作業にするか

そういった工夫は必要かもしれませんが

一応、できそうな感じがします。

 

ところが、

それを行う作業所側の

メリットがあまりにも薄い

という点は無視できません。

 

支払い工賃の平均は

月に4.5万円以上が報酬単価の上限で

月に7万円でも10万円でも

4.5万円であったとしても、

もらえる報酬単価は変わりません。

 

なので、

運営側としては、

高い報酬を出せるだけの作業は

利用者の間口を狭めることになり、

あまり大きなメリットはなさそうです。

 

仮に1時間1000円稼げたとして、

1日4時間の利用で月に22日通所なら

8.8万円ほど稼げます。

 

平均4.5万円以上を目指すなら、

1時間200円前後稼げる利用者が

1人に対して1人場合、

同じ日数通所する事前提で、

5.2万円になります。

 

これなら、

工賃1000円と工賃の平均支払いを

上限の4.5万円も同時にクリアできます。

 

しかし、

そんな都合よくできるわけもなく、

1時間1000円稼ぐ利用者が

卒業して就労したりA型、就労移行に

行ってしまった場合、

報酬が減ってしまいます。

 

できるにはできるけど、

支援とか高い工賃を実現することが

目的ではなくなってきたので

意味はないかもしれませんね。

 

 

あと、

これはもはや蛇足なのだけど、

例えば、

生活保護受給者で

1.5万円以上は稼ぐ必要を感じない

という人がいたとして、

その人が本当は1時間で500円ほど

稼げる能力だったとします。

 

その人の工賃を

1.5万円になるように調節して

他の人に自分が稼いだ分を

自動分配するような仕組みにすれば

可能かもしれません。

 

事業所はその分、

多くの報酬を手に入れられるので、

ここを何かしらで還元すれば

良いかも知れませんね。

 

昼食が無料になるとか、

仕事で使うからと言い張って

スマホを貸与するとか

所長が寿司とか焼肉おごってくれるとか

 

なんかそんな感じで。

 

で、

これちょっと

気になっていることなんですけど、

Twitterとかアベマとかで

B型事業所に対して、

報酬を1000円にしろー!とか

詐欺だー!とか

やりがい搾取だー!とか

騒いでいる人たちって

すぐ福祉の力でとか

福祉なんだからとか

どんな形でも労働なんだからとか

 

そういう事を言いますが、

方法を考えたり、

制度を勉強したり、

行政に確認したり、

そういうことって

してんの?まじで。

 

なんか外野が

思い付きでそれっぽい事を

ポジショントークで

言ってるだけに聞こえるのは

僕だけ?

 

それを考えるのが福祉だろ

とかいうなら、

だったらそれはお門違いで、

福祉というのは

全ての市民が最低限度の幸せと

豊かさを享受できる

という概念であって、

 

それはすでに

果たしていると考えています。

 

最低限度の幸せや豊かさは

国が補償しているものであって

一事業所や一個人が考える事では

無いというのが僕の考えです。

 

あくまで、

最低限度の幸せや豊かさの

さらに上を目指すというのが

工賃1000円だと思います。

 

背景には、

B型事業所の報酬体系の

上限が4.5万円以上とあるので

それ以上は福祉の守備範囲外と

考える事ができます。

 

1000円以上ほしいなら

A型にいってください。

 

というのが回答に

なるかと思います。

 

仮に、

全ての事業所が

最低賃金を保障してしまえば、

多くの人にとって

かなり狭き門になってしまいます。

 

それこそ、

福祉に反すると思います。

 

むしろ最低賃金を

保障されていないからこそ、

間口が広く、

訓練を受けて

A型や一般就労を目指せる

という事なんだと思います。

 

そうすることで、

最低限度の幸せや豊かさを

国が補償する制度として

担保されていると思います。